1商品開発におけるムダ・ムラ・ムリ
お菓子の新商品は毎週のように発売されていますが、そんな新商品にも実は沢山のムダ・ムラ・ムリが存在しています。現状では「KKD(勘と経験と度胸)」を基に、売れることを前提とした「発売ありき」のやり方が主流となっており、発売して売れなかったお菓子は最悪の場合は廃棄という形で食品ロスにつながります。従来のやり方では長期的に見ると新商品開発への投資が減少して、お客様の満足からは遠ざかってしまいます。
卸は皆さんにお菓子を届けるためには欠かせない存在です。
しかし、一方で卸業界には課題も多くあります。
お菓子の新商品は毎週のように発売されていますが、そんな新商品にも実は沢山のムダ・ムラ・ムリが存在しています。現状では「KKD(勘と経験と度胸)」を基に、売れることを前提とした「発売ありき」のやり方が主流となっており、発売して売れなかったお菓子は最悪の場合は廃棄という形で食品ロスにつながります。従来のやり方では長期的に見ると新商品開発への投資が減少して、お客様の満足からは遠ざかってしまいます。
近年では人手不足により十分に商品が作れず、品薄や販売中止などの機会損失も課題となっています。
「KKD(勘と経験と度胸)」は仕事をしていく上では重要な時もあります。とりわけ『経験』を積むことは大事です。ただ、経験値だけで提案をしていくとお客様のニーズを見落としてしまうこともあります。しかし、この業界ではまだまだKKDによる営業スタイルが多く存在していることも事実であり、菓子売場におけるムダムラムリにつながっていると言えます。
各卸は、自社の拠点、倉庫、トラックなどの物流機能を使って、商品を小売業様に納品します。卸の数だけ倉庫やトラックが存在し、コスト面では非効率で、昨今の労働力不足もあり、今後も同様のやり方を続けるのは難しくなってくると言われています。
これはほんの一例であり、業界にはたくさんのムダムラムリが存在しています。
サクラバは業界のムダムラムリを解決するために「商品開発」「情報卸」「物流」を会社の戦略として掲げています。
サクラバが取り組む基本戦略の一つがPB(プライベートブランド)商品開発です。全国チェーンの小売業様、製造メーカー様との連携の下、データを基にした企画・立案と実店舗での試売(試験販売)を経て、お客様に受け入れていただけるかを見極めた上で発売しています。目指すのは、ムダムラムリのない商品開発で、お客様にとって価値のある商品を提供し、小売業様の売上と利益に貢献することです。
サクラバが行う商品開発は主に、①「北国さくら本舗」をはじめとした自社PB、②小売業様の依頼を受けて行う「企業PB」、③メーカー様のブランドを活用させていただきながらサクラバ専用商品とする「留型」――の三つです。自社で製造設備を保有していないため、メーカー様に依頼して製造していただく形です。いずれの場合も目指すのは「お客様の満足度を高める」「開発のムダムラムリをなくす」「小売業様にとって圧倒的に差別化できる商品を提案する」ことです。
お客様の満足度を高めるために必要なことは、商品自体の質を上げ、そして単純な購買から体験へ、新たな価値を創ることです。お菓子は嗜好品ですから、用途としては日用品のように「役に立つ」というよりも、家族や友人と一緒に食べながら楽しい時間を過ごしたり、自分へのご褒美として食べたりするケースがメインになります。おいしさやお得感はもちろんのこと、「楽しさ」を実感していただく要素が重要になります。
体験については、開発過程での試験販売で市場未発売品を真っ先に試していただき、さらにアンケートでお客様の反応を取り入れることで商品作りに参加できるという、これまでにないお買い物体験をご提案しております。
メーカー様が行う通常の商品開発でも言えることですが、従来は「KKD(勘と経験と度胸)」を基に、売れることを前提とした「発売ありき」のやり方が主流でした。この手法では、売るために多額のマーケティング費用(広告費)や販促費(値引き)を投入して大々的に展開しますが、予想に反して売れ行きが悪かった場合、大量の在庫や返品リスクを抱えることになります。その結果、さらに値引きをして処分販売するか、最悪の場合は廃棄という形で食品ロスにつながり、長期的に見ると新商品開発への投資が減少して、お客様の満足からは遠ざかってしまいます。
サクラバは、こうした「ムダムラムリ」を省くため、発案段階ではまずデータ分析による需要予測を行います。ID-POSと呼ばれるお客様の購買データを基に、既存品の容量や価格帯を変えたり、新たな味を追加したりした場合に市場に受け入れられるか、仮説を立てます。その上で、メーカー様に少量を製造していただき、小売業様の一部店舗で売場をお借りして試売を行います。商品には、試売品である旨を記載し、アンケートの仕組みもつくり、お買い上げいただいたお客様の生の声を吸い上げる仕組みも備えています。
試売結果は、ID-POSによる売れ行きの実績とアンケートの二つを分析・評価して、そのまま本発売が可能か、もしくは味や容量に改善が必要なのかを判断します。場合によっては発売を中止し、お客様に喜んでいただける見込みが低いものは無理に市場に投入しません。
この取り組みでは、試売環境を持たない中小メーカー様にも販売・分析・修正のサイクルをデータとセットで提供し、ムダムラムリをなくすことに貢献できます。
小売業様にとって、試売による商品開発がもたらすメリットとは、競合との圧倒的な差別化です。幅広い客層に向けて試売し、本発売時のお客様の満足度を高められるだけでなく、「自社で試売済み」というブランディングにつながり、お菓子売場の注目度アップにも寄与します。
昨今、原料や燃料費の高騰による値上げが相次ぎ、また労働力不足などで安定した商品供給が難しくなる中、全国どこでも買える商品を安さだけを追い求めて差別化する時代ではなくなっています。小売各社では自社PBを展開して満足度向上に取り組んでいますが、その中でもデータと試売を軸にした商品開発によってファンをつくり、「この商品が買えるからあのお店に行きたい」と思っていただけるような差別化ができるようお手伝いしてまいります。
スナックから焼菓子、半生菓子、米菓まで、スタンダードなお菓子を均一価格でご提供。
秋田を中心に、地域をテーマにしたお菓子を地場のメーカー様とのコラボで開発。
アジア各国から日本のお客様の好みに合うお菓子を発掘してOEMとして展開しています。
サクラバが取り組む基本戦略の一環として、情報卸が挙げられます。
卸は小売業様とメーカー様、双方の情報・データを得ることが可能なポジションに位置しています。しかし卸として市場やメーカー様の情報を持っていることはもはや当たり前の時代となっており、どう活用するかが重要となってきます。
サクラバには情報を扱う環境だけではなく、情報の扱い方を学ぶ場があります。各営業がデータに基づいた「カテゴリーマネジメント力」を身につけ、小売業様へ最適な菓子売り場をご提案できるよう、社内で定期的な勉強会を続け、実践にいかしています。
近年ではPOSデータだけではなく、ID-POSデータと呼ばれるお客様の購買データを使った分析、提案の需要が高まっています。小売業様にとってID-POS分析による提案がもたらすメリットは、競合との差別化です。市場データだけを使った提案では、どの店舗も同じような品揃えになりがちです。しかしID-POSデータを活用することで、それぞれの地域・小売業様にマッチした商品提案、売り場提案をすることが可能となります。
データを活用しない、いわゆるKKD(勘と経験と度胸)による商品提案・売場提案はお客様のニーズに必ずしもマッチするとは限りません。欲しいと思う商品を購入できないお客様がいる一方で、需要の低い商品が店頭に並ぶことは、期限内に商品が販売し切れず、食品の廃棄ロスにつながることもあります。店頭で「どこに・何を・どのくらい並べるか」もデータを活用して提案することで小売業様の売場でのムダムラムリを解消する手助けとなります。
買い物におけるお客様の満足度を高めるためには、「欲しいと思っていた商品を普段行くお店で購入できること」が必要となってきます。お店によって、お客様の年代、生活環境は様々ですが、ID-POSデータをみることで、お店やお客様の傾向、潜在的ニーズを探しだすことができます。すでに店頭に並んでいる商品の最需要期をID-POSデータから予測し、新たなニーズの掘り起こしにつなげることも可能になります。従来のPOSデータからだけでは読み取れない潜在的ニーズを見つけ出し、品揃えや販売方法に活かすことで、買い物におけるお客様の満足度を高めるお手伝いをサクラバは担います。
サクラバは次世代卸=情報卸として小売業様だけではなく、その先のお客様のニーズにもこたえるため、日々進化を目指し取り組んでいます。
物流におけるムダムラムリ解決の鍵となるのが商流と物流を分離させる考え方です(商物分離)。競合関係にある卸が共同在庫、共同配送の態勢を構築することで、限られた資源を有効に生かしながら、トータルの配送コストも圧縮できます。すでに物流は競争領域から協調領域へと変化しており、差別化要素ではなくなっています。サクラバ1社で完結する話ではありませんが、小売業様との取り組みを通じて商物分離に取り組み、小売業様にとって最も優れた提案ができるよう、流通の構造改革に挑戦していきます。
物流の現場では、2024年問題(※1)をはじめとした環境の変化が起きており、卸売業(ベンダー)も例外なく対応を求められています。サクラバは、小売業様との取り組みの中で、これまで競争領域だった物流を協調領域として再構築し、効率的で持続可能な物流網へ改革するきっかけをつくっていきます。
※1 2024年4月からトラックドライバーの時間外労働の960時間上限規制と改正改善基準告示が適用され、労働時間が短くなることで輸送能力が不足し、「モノが運べなくなる」可能性が懸念されており、このことを「物流の2024年問題」と言われています。(出典:全日本トラック協会)